トーキョーサンドウィッチ

大阪出身 東京在住26歳 羨望と怠惰に挟まれて、今日も生きています。 Twitter : ry0oooooo0ta

髪に乳液

伸びた髪に乳液を塗ってみた。決して、やろうと思ったわけではなかったのだけれど結果としてそうなった。むしゃくしゃしていたわけではない。でも、案外良かった。今日はそういう話をしていきたい。

 さいきん、美意識の目減りが気になった出来事があった。久しぶりの親友とその友人と3人とで会う機会があって、3人が揃ったときだった。久しぶりの親友はぼくと同じで、高校のときくらいからずっとファッションが好きだった。大学になってもそれはお互い変わらずにいたつもりだけれど、僕がだんだんとファッションに使う情熱やお金をほかのことに回していった(必ずしも情熱を他に回せたのかはわからず、ただ本当にすり減っただけかもしれない)のに対して、彼の方はむしろその勢いを高めていった。その結果、周囲への発信を通じてそれだけでごはんが食べられるくらいのファッションの人となった。ながく1つのことを続けることのできない飽きっぽい僕がとても尊敬しているファッションな親友である。

 

きっかけになったのは別に服装がどうとかではなかった。むしろ服装に関してでいくと、久しぶりにこだわったといってよかったから申し分なかった。やや難易度の高い日本語が書かれた柄のロエベのロングシャツを選び、念入りにアイロン。パンツは黒のワイドのスラックスにしておき、まだ夏のにおいがしたから、丸いヴィンテージのサングラスと足元にはレザーサンダルをチョイスした。少しキメが強いと感じたので、カンゴールの白ハットを被り、シティーヤンキーを標榜するスタイルを目指した。ハイ&ローでいうと開始3040分ででてくるあたりの小ボス感のあるシティーヤンキーを狙っていた。(ハイ&ローは見ていないので想像で話してしまった。)

 

つい語り草になってしまったが、たいせつなのでもう一度繰り返すと、別に服装がどうとかではなかった。ぼくが直感にマズいと感じたのは髪型だった。ファッションな親友とその友人は1~2週間以内に整えられたようなさわやかい印象を与える、とても清潔感の高い髪型をしていた。襟元はきれいに整えられていて、品の良さを感じさせた。その佇まいがあまりに完成されていたので、ぼくのカンゴールの白ハットの品が悪いわけではないが、伸びに伸びた髪の毛をむりやり耳元にかけて、おもむろに生え散らかしたきたない首元をさらけだしている自分のなりを思いやったとき、美意識がいき届いていないなという風に思い至った。髪めっちゃ切りてぇし、むだ毛めっちゃ脱毛したくなった。ほんと、毛という存在は僕の思い通りにいきてくれないなと、意味なく八つ当たりしたくなった。そういったところも、ひときわ美意識が足りない状態だなと思えるむなしさがあった。

 

そこで。早速美容院を今週末に予約していたのだけれど、せめてこの伸びた髪でも清潔に見えるようにと髪の毛を試行錯誤しようと今日の朝支度の10分の間に思った。ぼくはいつもの流れとして、歯磨き⇒顔洗い⇒コンタクト⇒化粧水⇒乳液⇒ワックスと手を染めるが、髪の毛が気になっていたのか乳液⇒ワックスの最終フェーズに移行する前にふと乳液状態のまま髪の毛をさわった。「アダルトビデオ 髪の毛」で検索すると吐き気を催される方がいらっしゃるかのようなビジュアルの前髪になった。しかし、乳液をぼさぼさの髪の毛にすりこむとしっとりとして、案外まとまりがよいなということが寝起きのうすらぼけの頭でも認識できた。そこからの僕は、乳液⇒ワックス⇒乳液というフルコンボを決め込み、清潔感あふれるスタイルを目指そうとした。肌だけでなく髪の毛までつかえる乳液ならば完ぺきなはずだ。清潔の権化になれるはずだ。急に今日から会社でもモテだすかもしれないと、学生時代のバレンタインデーの日くらいの謎の高揚感もあった。

 

満持して出来上がったのは、べとべとのおっさんだった。決して清潔ではあらない、ただのべとべとのおっさんだった。むだに美意識こそ高まっていたので、べとべとのおっさんは許せなかった。目標としていた出社時間をあっさり見捨てて、髪の毛を洗いブロウ(言ってみたかった)させ、また支度をするというところから再スタートした。またの支度では髪の毛を濡らしたこともあって、顔ももう一度洗った。そしてこの日2度目の化粧水と乳液にはいった。もちもちなのかべたべたなのかよくわからない肌の質感を感じながら、美意識にはお肌も重要やなぁとわかったような顔をしたぼくの顔うつる鏡を見つめつつ、もういちど乳液をはだにすりこんだ。少しだけなら見た目にも美しいのだと髪に乳液をもう一度塗り込み手を洗い、タオルで綺麗にふきとった。やはり少しの量であれば見た目的にはすごくこざっぱりした、グッドルッキングガイであった。

 

テンションこそ上がったものの予定時刻をとうに過ぎているので、もう秋がきているのに少し額に汗をかきながら早足で、バレンタインでもなんでもない会社に向かった。今日はモテるモテないなど言ってられぬいつになく慌ただしい1日だったこともあってか、帰るころには乳液がかかったような髪になっていた。髪に乳液塗らなくても十分間に合ってるわと、グッドルッキングガイもとい、べとべとのおっさんはそう思った。