トーキョーサンドウィッチ

大阪出身 東京在住26歳 羨望と怠惰に挟まれて、今日も生きています。 Twitter : ry0oooooo0ta

suchmosを聴いていてもオシャレにはなれない

どうもこうも長期休暇の予定を仕立てるのが苦手である。
長期休暇というように大見得切ってしまったものの、
通常のいわゆるオフとされる土日の予定をやりくりすることも長けていない。

 

そんなぼくがこのゴールデンウィークに珍しく前もって入れていた予定があった。
ビバラロックという、いわゆるところのロックフェスである。
最近のところあまり音楽を聴くことはなくなり
熱心に音楽を聴いていた中高時代から時を経るごとに
新しい音楽を見つけることもせいぜいしなくなったから、
それほど熱意は持っていなかったのであるが、
どうもこのフェスに関しては行こうという気にそれとなくさせられてしまった。
suchmosである。
 
サチモスは1年くらい遅れてしまった感もあるが、僕の中でとてもいけているバンドだ。
正確にいうと、世間的にイケてそうだと僕が思っているバンドだ。
その音楽は単にロックとかジャズとかR&Bとかで括れるような音楽性ではないと思う(そんなに詳しくないからあんまり突っ込まないでほしい)が、なんかオシャレだ。
そんなsuchmosが我が家から電車で一本突っ走ったさいたまスーパーアリーナで聴けるのだから、これは行っておこうと思った。
ゴールデンウィークの間の月曜日と火曜日を有休奨励日にしてくるようないい感じのホワイト加減をアピールしてくる当社にも、予定の一つや二つくらい入れておかねば申し訳がない。
気軽に入れておく予定としてはなかなかにいいチョイスであった。
 
ビバラロック3日間のうち2日目である5月4日には音楽にそこまで明るくない僕にも楽しみにしたくなる顔ぶれが揃っていた。
前述のsuchmosを除いても朝いちからキュウソネコカミという僕が高校生の時にあれば銀杏BOYZやPOLYSICSと肩を並べてハマったであろういい感じの馬鹿いバンド(褒めている)がいるし、午後のこれまたシティなスペアザに入る前にRIPSLYME不倫騒動でやらかしてしまったlovefilmがあった。
(lovefilmは僕が音楽への熱を失う前にギリギリ好きだったtelephonesのメンバーを中心とした、スーパーカーを彷彿とさせるとてもいいバンドだ。ということが、予習の結果わかった。)
yahyelやD.A.N、ぼくのりりっくのぼうよみといった雰囲気を出すのにちょうどいいメンツの時間を過ごしたあとに、サカナクションの裏でcreepy nutsがいるというなかなか攻めていた顔ぶれであった。
 
このテンションからわかるようにぼくはとてもこの日を楽しみにしていた。
LIVEやフェスは相当久しぶりである。
ちかごろは仕事中やお風呂の時間は出てくるアーティストの楽曲の予習に当てていた。
いつもデスクの僕に仕事の質問をしてくる石高さん(仮)には悪いことをしているなと思いつつも、鉄の意志でイヤホンをつけてアウトルックぽちぽちエクセルなめなめに励んでいた。時々はまったく関係のない大森靖子さんを聴いていた。ディズニーランドに住もうと思った。
 
ビバラ当日の朝は前日に夜更かしをしたにも関わらず、清々しい目覚め、まるで小学生の坊やのようであった。
このシーズンはじめてのハーフパンツにTシャツ、行き帰りの気温を鑑みながら少し厚手のネルシャツをチョイスした。
社会人にしては少し伸びたこの髪の毛に普段はつけないヘアバンドなんかもつけてみたりした。こなれた感を演出したかったからだ。
ウキウキでぼくは家を出発した。
 
まずは物販に走った。もちろんsuchmosが買いたい。
思ったよりは並んでいなかったが、この日のメインであろうサカナクションやUNISON SQUARE GARDENよりは明らかに並んでいた。
みんなオシャレぶりたいのだ。オシャレぶったやつもうgood night である。
とはいえsexyなmouthを綻ばせるぼくはキュウソネコカミに間に合うか不安を抱えたままグッズを買うために並んでいた。
並んだ末にどのようなものが買えるかはわからないが、とにかくsuchmosが買いたい。とても趣味がいいとは言えない色の悪い紫のTシャツしかなかったとしても買う所存でいた。
 
30分を少し回った頃であろうか、僕がsuchmosを買える時がやってきたのだ。やったー。
ぼくは慌ててグッズを覗き込む。すでにタオルのSOLDOUTが出ている。特にほしいものではなかったけれどもなんか悔しい。suchmosの物販ともあればもう少し先に来るべきであったか。
まあそんながっかりを抱えつつも、そう悪くはないロンTとタオルを購入することにした。
タオルには2種類あった。とても大きいものか、細長い銭湯でいただけるような普通のサイズのものだ。
ここは明らかに大きいもののほうがほしい。なぜならぼくはsuchmosを買いに来たからだ。
小さなsuchmosよりも、大きいsuchmosを肩にかけていたほうがなんとなくオシャレだ。
大きいsuchmosを肩にかけ前を結ぶか結ばないかは意見が分かれるところであるが、そういういい感じのタオルを肩にかけながら、フェスにおいて前で下品に騒ぐようなことはせず、余裕をもちながら後方でビールを嗜む。それをやりに来たのだ。買わないわけがない。
結局タオルは一緒に行った妻さんの分も合わせて2枚買い、ロンTと合わせて9000円を支払った。1日に近い労働の対価だ。
 
3000円以上購入するとsuchmosの刻印が入った袋がもらえると物販エリアには買いてあった。
ぼくはドヤ顔で2枚くださいといった。それはできないんですと勝手なイメージで青山学院大学3年生で周りがviviやcancanを読む中一人FUDGEを読むことによって自意識を保ってそうなとても可愛らしいお姉さんに言われた。(少し嫌味になってしまったが、彼女は相当に可愛かった。いくら年下であっても綺麗な女性にはお姉さんと呼ぶことが都会に生きる紳士としてのマナーだ。)
そこでみすぼらしくも僕は3000円以上を2回買うことをしようとした。もういいっかぁという大きな独り言と共に1回の購入でも特別に2枚受け取れることになった。あんなに嫌そうなもういいっかぁというお言葉をFUDGEのお姉さんから頂戴したことには本当に頭が上がらない。
自戒を込めて本当にみすぼらしかったと2度目であるが言いたい。
 
気を取りなおしてぼくは久しぶりのフェスをがっつり楽しんだ。
それぞれアーティストを予習して来たつもりであったが聞いてきた曲がことごとくはずれて少し寂しい気分を味わってもいた。2番くらいからサビをなんとなくで合唱しようと参加するものの細かい歌詞を聞き取ることができずどうも周りと違う単語を発している気がした。あの、アーティスト側が自らのファンが客層の全てであることを前提とした歌詞の一部を歌わせる部分が特に苦手だった。得てしてそういうことをするバンドはシャウトしがちなので、日本語か英語かも怪しい。かつて流行ったおーううぇん瞑みたいなよくわかんないのが正解なのかもしれない。(知らない人はググってみてほしい。これで検索ひっかかるかわかんないけれど。)
中途半端なステージ前方につけてしまった手前そんな気味の悪い間違いをサチモスのタオルを身につけた僕がしてはいけないと思い、体を揺らすに徹することにした。
休憩に食べたキーマカレーがおいしかった。ビールは言うまでもない。3杯も飲んでしまった。
 
そしてようやくサチモスの番が近づいた。ぼくは隠せるわけもなく興奮していた。
それまでに来ていたTシャツを先ほどもういいっかぁFUDGEお姉さんから購入したサチモスTシャツに着替えて、大きなsuchmosを肩にかけた。これは初心者にしては十分な装備である。
周りの人は順番を待つ間そわそわしながら俺STAY TUNEしか知らねぇわとか言ってる。ふっ、ここらへんでは僕が1番のサチモスなことに間違いはなかった。なぜなら石高さん(仮)の質問を遮ってまで時々大森靖子さんを挟みつつも、ここのところサチモスしてたからだ。I’m so cool he so cool she so cool みたいな曲を知ってる点で彼らに対して優位性があった。(正確に記述するために歌詞をググったが、I’m so good と間違っていたところには愕然とした。やっぱり細かい歌詞を聞き取ることは苦手だ。)
とにかく、そのあたりでは一番のサチモスだったはずだ。
 
ついにsuchmosが始まった。最初から結構有名な曲を演奏した。僕でも知っている。
ボーカルのヨンスさんは時々体をくねくね揺らしながら堂々たるふるまいであった。ベースの人もDJの人もこれまでに見たバンドメンバーよりも自信があるように見えた。そりゃそうだ、suchmosなんだから自信がないそぶりを見せるわけにはいかない。
ありがちな言葉で言うと、とにかく格好がよかった。
 
2曲がはじまると惜しげも無くSTAY TUNEを披露した。ワンピースでいうと、ゾロが鬼斬りをした後そのあとすぐに三千世界で敵を斬るような感じだ。星野やに宿泊するのにさっさとエッチだけして寝るような感じだ。こんなかっこいいことができれば、尾田さんも間延びしているみたいなことを言われなくなるはずだ。(30巻そこらへんしか読んでいないワンピース知識で書いていること、星野やに泊まったことなく想像で書いていることはご容赦いただきたい。いまぼくはポリティカルコレクトネスに気を使っている。そういえば、大学の同級生で星野っていうイケメンがいた。)
こんなあっさりとin 東京 friday nightするのではなく、もっと焦らされるのかと思っていた。どうだ聴きたいだろ的なMCと共にもうgood night するのかと思っていた。
そして、そんなことが頭を巡りつつ興奮の醒めない僕を置いて、さも当たり前のようにヨンスさんは「ありがとう」と言った。深々ともせず、あっさりと「ありがとう」と言った。
本質的な自信からなる「ありがとう」だった。こんなに格好がいいありがとうがあろうか。
 
ぼくは圧倒的敗北を感じた。年齢もぼくより一つ下くらいで大して変わらないヨンスさんがきっとものすごい努力の上にこんな大きくて最高なステージに立っている。歌のない部分ではステージを水の中の魚のように気持ちよく動き回っている。不自然な姿は一切見あたりがない。
かたや僕は曲の順番くらいにどぎまぎしながら、9000円をグッズに消費した上もういいっかぁFUDGEお姉さんから一枚でも多くの袋をもらおうと躍起になっている。周りよりもちょっとサチモスを知っているだけでいい気になっている。
あわよくばサチモスを利用してオシャレに見せようとした僕と、くねくねした動きやそのふるまい全てがオシャレと形容されるヨンスさん含むsuchmos。
本日3度目となるみすぼらしさを感じざるを得なかった。suchmosあっぱれだ。
 
きっとsuchmosをただ聴いていてもオシャレにはなれない。
それがわかっただけでもこのロックフェスに行ってよかった。
ブランド着てるやつもうgood nightとヨンスさんに言われながらも、僕は今日もKITSUNEのTシャツとブルゾンを着て公園で読書をするために出かけた。
 
ひとつひとつ憧れに近付いていこう。